緊張型頭痛や、片頭痛の初期対策として「手をやさしく当てる」という方法があります。
これは手さえあれば、どこにいても今すぐ出来ます。
ほとんどの人が、痛みを感じる箇所に思わず手を当てるのはなぜでしょう?
その理由と、頭痛対策としての手当てが効果的なタイミングについて書いています。
目次
からだには、痛みをやわらげるメカニズムがある
からだには痛みを一時的に回避させたり、和らげたりするシステムがいろいろと備わっています。
1・一時的なストレスを受けた時
高校時代、バスケのクラスマッチで足首を捻挫したことに気付かず走り続け、終了のホイッスルとともに足が痛みだしたことがあります。
このように、何かに集中している時には痛みを感じないことがあるんですね。急いで逃げなければいけないなど、心身が戦闘モードになっている時。
そういう時には、脳からの刺激を受けて脳下垂体や副腎という器官から痛みを抑えてくれる物質が出ています。

痛みを抑える物質が出る
その間だけ、私たちは痛みを感じず動けるようになっています。
生きるための身体の知恵ですね。
2・さすった時
痛みを感じるのは「身体の中を「痛い」という電気信号が伝わっている状態」だからです。
ざっくりとイメージすると、
*からだ中に張り巡らされたセンサー
*その電気信号(刺激)を中継する脊髄
*それを感じる脳

痛みが伝わる回路
・・があって、そこを刺激(電気信号)が伝わっているんですね。
からだ中に張り巡らされているセンサーには、鋭い痛さや鈍い痛さを伝えられるよう、いくつか種類があります。
そして、さすったりして身体に刺激を与えると、痛みよりもさすった刺激を伝える方が優先されるようにからだは作られています。
だからさすると、痛さが和らいだように感じるのですね。
3・別の箇所で、ものすごく痛さを感じた時
頭が痛いな~と感じながら、思いっきりドアに指を挟んでしまったような時にも、指の痛さに気が行って、一時的ですが頭痛が感じられなくなります。
立ち上がる時に頭をぶつけるとか。経験ないですか?
日常の頭痛対策としては、「他にわざと痛みを起こす」というのは現実的ではありませんが。
ですが身体には一番強い刺激に意識が向くような仕組みが備わっているので、こういうことが起こります。
4・痛みを抑える物質が分泌された時
痛みを抑えるように働く物質が、脳やせき髄から分泌される時があります。
安心感や多幸感を与える物質が分泌される時もあります。

痛みを抑える物質が出る
いいですね。
でも・・
それらが出なくなったり、逆に痛みを増す物質が分泌される時もあります。
その分泌量に大きく影響するのが、神経の興奮やリラックスのあんばい、バランスです。
飲食したものや心持ちによって、その状態は左右されます。
ですので、そこをなるだけ良い状態にもっていくことが、頭痛対策になるんですね。
素朴な「手を当てる」という行為の鎮痛メカニズムはどうなってる?
冒頭の話に戻ります。
「タクティールケア」ってご存知でしょうか?
スウェーデン発祥のタッチケアです。
未熟児の世話をしていた看護婦が、毎日触れることでその子の発育が良くなると気付いたことから始まったセラピーです。
なぜその子によい作用が起こったのかというと、2のように触れる刺激が痛みより優先されて伝えられたこと。
それから4のように、優しく触れられることで心地よさを感じる物質が分泌されたことなどが、理由と考えられています。
ハンドセラピーとくくられるものは、整体から指圧、マッサージ、リフレクソロジー、タクティールケア、クウォンタムタッチ、レイキなどなど・・・とてもたくさんあります。
じつは科学的、医学的効果の立証が難しいとされているハンドセラピーですが、痛みが和らいだ、楽になったと感じる人が多く、求められているのがなによりの効果の証明だと私は考えていますよ。
エステシャンや美容師など、正面から「ハンドセラピー」として始めなくても、自然と手で触れる効果の大きさに気付いていく人が多いことも、それを物語っています。
多くの方が痛い箇所に思わず手を当てたり、子どものお腹をさすったりするのはこういう理由からではないでしょうか。
頭痛では、こんな時に手を当てるといいですよ
いつの間にか長時間同じ姿勢をしているパソコンや車の運転。
体操も効果的ですが、こまめに手を当てることもお勧めします。
場所は、目や頭、首や肩などです。
肩こりや、何かに集中している状態では身体の筋肉がギュっと縮んだままです。
そこから頭痛が起きることがあります。緊張型頭痛といわれるタイプの頭痛ですね。
また、片頭痛においても痛みを抑える物質が出ることにより、ひどくなるのを避けることができます。こちらは、なんとなく重だるい初期の段階で手を当てるのが効果的です。
そういった時に手を当ててみてください。
痛みは感情とも大きく関わっていますので、不安や焦りといった、痛みを増幅させる感情を手放せるようになると、痛くなりにくくなります。
そういったコツについてもお話ししている動画です(1分49秒)。